石の森の獣医師
【短編小説/生態ファンタジー】昼は石像、夜は動物へ戻る白環森で、三頭の鹿が石のまま目覚めない。巡回獣医師の環は病気と判断して石の皮膚を切るが、それは森全体が胞子を運ぶ繁殖の時間だった。治療する手が生態を壊したとき、獣医は傷を縫い直せるのか。石工と森へ入る一夜。
月瀬 灯【短編小説/生態ファンタジー】昼は石像、夜は動物へ戻る白環森で、三頭の鹿が石のまま目覚めない。巡回獣医師の環は病気と判断して石の皮膚を切るが、それは森全体が胞子を運ぶ繁殖の時間だった。治療する手が生態を壊したとき、獣医は傷を縫い直せるのか。石工と森へ入る一夜。
月瀬 灯【短編小説/書簡ファンタジー】明日の天気が染みとして現れる羊皮紙。見習い予報官の私は、命令されてもいないのに領主の婚礼へ「晴れ」を書き足す。名前を覚えてほしかったからだ。だが紙が読んでいたのは空ではなく、触れた人々の身体だった。届かなかった雨と、宛名のある告白をめぐる七通の手紙。
月瀬 灯【中編小説/産業ファンタジー】島国は夜を採掘し、眠れない大陸へ輸出している。採掘所で監督官レナの遺体が発見され、労働者が犯人にされた。ところが死は、国を止めるため彼女自身が仕組んだ殺人劇だった。奪われた夜が帰れば人は眠れる。作物は育たない。正義の夜が島へ落とす、濃すぎる影の物語。
月瀬 灯【中編小説/ダークファンタジー】嵐を鎮めるため、十二の村が獣骨の笛を神殿へ納める国。若い笛職人ナギは、今年の一本に二人分の人骨が混ざっていると見抜く。一人は殺された測量師、もう一人は自ら骨を差し出した母。完全な音を鳴らすには誰かの人生を使わなければならない。ナギはあえて欠けた笛を選ぶ。
月瀬 灯【長編小説/冒険ファンタジー】巨大獣の渡りで川も街道も動く大陸。地図師ユラは帝国測量隊長の死を追い、自らが描いた美しい直線が谷を飢えさせ、獣を殺していたと知る。殺人者は誰か。正しい地図は誰のためにあるのか。国境と獣群が迫るなか、ユラは自分の署名が入った原版を火にかける。
月瀬 灯【長編小説/政治ファンタジー】戴冠式で王女ナディアに現れるはずの〈灰冠〉が、地方徴税官イリヤの額に宿った。反逆者とされた王女は、灰冠が鉱夫の寿命で燃える仕組みと、儀式を変えた者を追う。だが最後に彼女が向き合うのは王国の罪だけではない。王位を望んでいないふりをしてきた、自分自身の欲望だった。
月瀬 灯