「家族」の検索結果
10件 · 1 / 1ページ小説 · 2026-09-17 帰る場所
雨の日、旧友が中古車店へ置いていった車。そのトランクには三千万円があった。娘の進学費用に百万円だけ借りる――黒木修一の小さな言い訳が、家族と友人を巻き込んでいく。金で取り戻せるものと、取り戻せないものを描く完結ドラマ。
火坂レンジ作品を開く →小説 · 2026-09-17 まだ住んでいる
家賃保証会社で督促を担当する榊美咲。二十五年前に亡くなった契約者の家賃が、今も払い続けられていた。滞納案件を追う仕事の中で、他人の事情と自分の壊れた家族に向き合っていく、完結した現代ミステリー。
汐庭つむぎ作品を開く →小説 · 2026-09-09 猫が一匹、町工場を救う
従業員四人の町工場。二代目の圭一が継いで二年、取引先は半分に減り、八月末に八百万の返済が迫っている。 五月、旋盤の上に、灰色の猫が寝ていた。左耳が欠けている。三回追い出しても戻ってくるので、職人頭が餌をやった。若い職人が「部長」と名前をつけた。 猫が苦手な圭一は、追い出さなかった。追い出せなかったのではなく、追い出さなかった。理由はまだわからない。 部長は、父の図面の上で寝る。銀行員のスーツに毛をつける。大口の客の車に乗り込む。雨の日に倉庫で鳴く。 そのたびに、なぜか、金と仕事が動く。 経理の由美は毎朝言う。「あと、六百万」
しゅう1作品を開く →小説 · 2026-09-09 引っ越し屋は、最後の荷物を運ばない
引っ越しの荷物には、二種類ある。運ぶ荷物と、運べない荷物だ。 運べない荷物とは、重いとか壊れやすいとかではない。持ち主が、手放さない荷物のことだ。 班長は言う。「荷物は、持ち主の手で、最後の一個を運ばせろ」 作業員四年目の二階堂駿は、現場ごとに、その「最後の一個」に出会う。位牌。結婚式のアルバム。押し入れのギター。娘の描いた絵。 そして四月、六年帰っていない実家の引っ越しが、自分の会社に入る。 父は見積書の備考欄に、九文字だけ書いていた。「本棚一つ、運ばない。自分で運ぶ」
しゅう1作品を開く →小説 · 2026-09-09 深夜のコンビニに、毎晩同じ客が来る
午前二時十四分。国道沿いのコンビニに、毎晩、同じ客が来る。 灰色のジャンパーの老人は、牛乳を一本、小銭ぴったりで買って、何も言わずに帰る。三年間、毎晩。 夜勤の篠崎亮は、数えるのが得意で、人と話すのが苦手だ。だから最初は、数えるだけだった。二時十四分。小銭の枚数。小銭袋の残り。 数えているうちに、袋が空になる日と、その牛乳が廃番になる日が、同じ日だとわかる。 どちらも、亮にはどうにもできない。どうにもできないことを、亮は、店の三人で、どうにかしようとする。
しゅう1作品を開く →小説 · 2026-09-07 縫う
納棺の仕事を十四年している。湯灌は九十分。ドライアイスは一回三・五キロ。解剖のあとの遺体を縫うのは、この会社では自分だけがやる。 家族が見ている前で手を動かすのが仕事だと思っている。事故の遺体を縫っているあいだ、母親が最後まで見ていた日もあった。 十一月二日午前四時十二分、父が死んだ。翌日、自分で納棺すると言った。剃刀を持ったところで手が止まった。 十日後、他人の遺体を前にすると、手は普通に動いた。 全十章。
しゅう1作品を開く →小説 · 2026-09-06 眠る惑星の台所
【短編小説/科学幻想・家族小説】乗員が一人ずつ長期睡眠へ入る惑星調査船で、料理人の私は最後まで起きている。氷殻惑星の振動は、亡き父のレシピにある調理時間と同じ間隔を刻む。通信なのか、故障なのか、ただの偶然か。六人分の台所でスープを煮ながら、私は意味のないリズムを意味のないまま聞く。
月瀬 灯作品を開く →小説 · 2026-09-06 庭師は雪を数えない
【短編小説/心理ミステリー】雪の朝、名家の離れから仏像が消えた。庭に足跡はない。七十四歳の庭師・源造は、温水管と枝を伝えば雪へ触れずに渡れると知っていた。疑いは孫へ向くが、それこそ源造が望んだ筋書きだった。家も庭も家族も自分の手で整えたい男が、凍った池の前で制御を失う。
月瀬 灯作品を開く →小説 · 2026-09-06 空室の家族
【中編小説/家族ミステリー】集合住宅を撮る写真家・真帆は、十五年間空室のはずの四〇七号室で濡れた食器を見つける。そこには、失踪した姉のための席が用意されていた。姉は死んだのか、それとも生きて帰れないのか。父の支配と善意の家族ごっこが絡む部屋で、真帆は誰の許可も得ずに作られた「帰る場所」を撮る。
月瀬 灯作品を開く →小説 · 2026-09-06 水没区画の夏
【長編小説/近未来災害ミステリー】高潮のたび道路が運河へ変わる沿岸都市で、退去を拒む住民が相次いで転落死する。護岸技師の紗良が追う避難計画の欠陥は、彼女が敬愛した父の設計へ繋がっていた。迫る満潮のなか、父の名を守るか、生きている街を救うか。水際で家族の神話が崩れていく。
月瀬 灯作品を開く →