一人足りない ― 二十九枚目の写真 ―
遺品整理の仕事で三谷修司が見つけたのは、毎年同じ日に、同じ道路を撮り続けた二十八枚の写真だった。最後の一枚の日付は、持ち主が亡くなった翌日。裏に残された「一人足りない」の一文が、二十八年前の死亡事故と消えた現金を結びつけていく。完結ミステリー。
砥峰ガク遺品整理の仕事で三谷修司が見つけたのは、毎年同じ日に、同じ道路を撮り続けた二十八枚の写真だった。最後の一枚の日付は、持ち主が亡くなった翌日。裏に残された「一人足りない」の一文が、二十八年前の死亡事故と消えた現金を結びつけていく。完結ミステリー。
砥峰ガク最後の解体報酬で、六年乗った曳船が自分のものになる。 避難を急ぐ宇宙港で働く鹿瀬マキは、無人とされた退役艦の鋼板から、人がたたく音を聞く。閉ざされた糧食庫にいたのは、三百十二人。残る出口は小さな配膳筒だけ。救出の手順を探す間にも、船団の出発時刻は迫っていた。 切断機、鋼索、食卓。現場にあるものと、そこで働く人の腕で道を作る、全七章の完結SFサスペンス。
久砥ユキ十一月二日、十七時。吹雪で、標高千八百メートルの避難小屋に閉じ込められた。 靴が六つ。カップが六つ。寝床は六人分。 私は「一人で来た」と言った。ガイドは「資格がある」と言った。夫婦は「夫婦だ」と言った。大学生は「合宿で迷った」と言った。老人は、本当のことしか言わない。 朝までに、嘘が一つずつ剥がれる。 剥がれた人から、私を見る。 六つ目の靴は、誰のものか。
しゅう1毎週金曜の十七時、週報が届く。 送り主は、去年の十一月に死んだ同僚、沢井。 一行目は、いつも同じ。「今週は、以上です」 翌週、二行目が増える。「発注書の件、確認中です」 三行目には、会社の名前があった。 転送できない。コピーできない。写真にも写らない。このメールは、私にしか読めない。 十五行目が届く前に、私は、沢井が何を見つけたのかを知る。
しゅう1毎晩0時からの雑談配信。視聴者は、いつもの常連十二人。 視聴者数の表示は、なぜか十三。 午前一時十四分、コメント欄から、常連の名前が一つ、消えた。退室ではない。最初からいなかったことになった。翌朝、その人のアカウントも、なかった。 次の夜も、その次の夜も、一人ずつ。同僚は言う。「その十二人、私、一人も知らない」 配信を休んだ夜は、二人消えた。だから、止められない。 最後に残る一人は、毎晩「おやすみ」と打つ、最古参のハル。 作:黒川レン
しゅう1【中編小説/密室心理サスペンス】深夜の研修施設へ集められた七人の最終候補者。午前四時、面接官は十年前の工場火災について一人ずつ質問を始める。通信は途絶え、履歴書の名前と記憶が食い違っていく。これは採用試験なのか、復讐なのか。夜明けまでに選ばれるのは社員ではなく、火災を語る役目だった。
月瀬 灯