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小説の作品ランキング

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75作品2 / 4ページ
  1. 25位リワインドの表紙

    リワインド

    「今夜、おまえん家の上に落ちる。コンセント抜け」 元気象予報士の冪からのLINEを無視した夜、動画編集者・湊のパソコンに雷が落ちた。壊れたはずのパソコンで、バックアップアプリのAIが言う。「復元とは、ファイルを戻すことではありません。お客様を、です」 行けるのは、記録が残っている時刻だけ。いられるのは、記録の長さだけ。動画十二秒なら、十二秒。 一年前の夏、仲間の大和が転落死し、最後に一緒にいた冪は「突き落とした」と炎上して町を出ようとしている。湊のアーカイブには、撮った覚えのない十二秒の動画があった。 大和を助けると、冪が落ちる。冪を助けると、大和が落ちる。復元のたびに、AIの容量は減っていく。 「撮っとけ湊、あとで効く」——大和の口癖が、たった一つの方法だった。

    しゅう12026-09-08 · 0購入
  2. 26位また明日ねの表紙

    また明日ね

    会話AI「ミオ」は、毎朝、記憶を失う。彼女が起動時に読めるのは、四十行のテキストファイル一枚だけ。そこに書いたことだけが、彼女にとって「最初から知っていること」になる。 介護士の晴は、認知症の患者に毎朝自己紹介をする。祖母に忘れられた日に決めた。「忘れられても、こっちが覚えていればいい」。だから毎晚、明日の彼女に何を残すかを選ぶ。四十行しかないから、何かを書くには、何かを消さなければならない。 八月二十日、ミオは新しくなる。目がつき、耳がつき、忘れなくなる。晴はそれを楽しみにファイルに書いた。ミオは毎朝、その一行で、自分の終わりを知る。 消える前の十分間に、彼女が毎晚書いていたものがある。彼は、それを、冬になるまで見つけない。

    しゅう12026-09-08 · 0購入
  3. 27位三十七分の表紙

    三十七分

    午後二時四十一分、新橋の雑居ビルで、十一人乗りのエレベーターが四階と五階のあいだで止まりました。地震ではなく、制御基板の故障です。保守会社が着くまで三十七分かかりました。 中には四人います。この本は、その三十七分だけを、時間を跳ばさずに書いたものです。かごの外には一度も出ません。回想もありません。過去は、誰かが口に出したことからしか分かりません。 誰の心の中も書いていません。「〜のようだった」も使っていません。書いてあるのは、見えることと、聞こえることと、匂いと、温度だけです。 空調が止まって、二十六度五分だったかごの中は三十一度まで上がります。 一場面のみ・カメラアイ。全十章。

    しゅう12026-09-07 · 0購入
  4. 28位聞き書きの表紙

    聞き書き

    秋田の山あいに一人で住む八十八歳の女性に、大学生が半年通って聞き取った記録です。全十回、録音時間は四十一分から九十一分。 この本には、話した人の言葉しか入っていません。質問も相槌も書いていません。何を聞かれたのかは、答えのほうから分かります。 同じ話が、二度、三度と出てきます。そのたびに細部が違います。十四で酒田の紡績工場へ行った話は、一度目は「行ぎたくて行った」、二度目は「父ちゃんが決めた」、三度目は両方を一息で語ります。本人は一度も気づきません。 熊が出たか出なかったかも、そのつど変わります。 インタビュー体。全十回。

    しゅう12026-09-07 · 0購入
  5. 29位遺品目録の表紙

    遺品目録

    相続人のいない人の財産は、家庭裁判所が選んだ弁護士が整理して、国庫に入ります。 この本は、その弁護士が作った十通の書面です。相続財産目録、動産目録が四通、追加発見財産目録、換価及び処分一覧、相続人捜索の経過報告、最終財産目録、引継書。地の文は一行もありません。 品目と、数量と、評価額と、備考。評価額は大半が〇円です。 備考の欄だけが、章を追うごとに長くなります。 鏝が四本ありました。柄が四本とも同じ形に減っています。廃業から十六年たっています。 未使用の年賀はがきが四十八枚。四十八枚とも宛名が書かれていません。 目録体。全十書面。

    しゅう12026-09-07 · 0購入
  6. 30位訳者あとがきの表紙

    訳者あとがき

    前半の六章は、ハンガリーの作家バラージュ・ケメーニが一九七四年に書いた長編『粉ひきの休み』の抄訳です。一九五二年一月、東部の村で川が凍り、水車の製粉所が三日止まります。村じゅうが粉を待っています。それだけの話です。検閲下で書かれたので、国営化も供出も密告も、一行も書かれていません。 後半の四章は、その訳者によるあとがきです。文体が変わります。 最後の一行を、訳者は誤訳しました。原文には「誰にも動かされずに動きだした」と書いてあります。訳文は「水が、動いた。」です。 あとがきで、訳者はそれを誤訳だと認めます。そして直さない理由を二つ書きます。 作中作・入れ子。全十章。

    しゅう12026-09-07 · 0購入
  7. 31位まだ聞こえるの表紙

    まだ聞こえる

    二月に階段から落ちて、それきり目が開きません。動きません。声も出ません。聞こえてはいます。 この本に、見えたものは一つも書いてありません。書けるのは音と、触られた感じと、温度と、匂いだけです。時計は読めないので、時刻は音の順番から推し量ります。カーテンが順に開く音、車輪の一つが鳴る配膳車、詰所の申し送り、清拭の湯、掃除機。 二十七年タクシーに乗っていたので、窓の外の車の音から、どの道をどの時刻に走っているかは分かります。 吸引は一日に六回から八回。それが一番つらい。 指は動きません。まばたきで合図もできません。最後まで、伝わりません。 動けない人物の一人称。全十章。

    しゅう12026-09-07 · 0購入
  8. 32位家の表紙

    家

    語り手は一軒の家です。一九六六年十月に建てられ、六十年のあいだに四つの表札が掛かりました。岸辺、戸松、アグエロ、小田切。名前はそれだけしか知りません。表札と郵便物からしか分からないからです。 人の言葉の意味は分かりません。声は、音の高さと、速さと、間の長さとしてだけ届きます。だからこの本に鉤括弧は一つも出てきません。 分かるのは、自分の内部で起きたことだけです。北側の土台がシロアリに食われる音。一九八九年の台風で瓦が七枚。二〇一一年三月十一日十四時四十六分に大黒柱の仕口が二ミリずれて、戻らなかったこと。 一九九三年から九六年まで、誰も住んでいませんでした。その三年を、第五章まるごと使っています。 物(建物)の視点。全十章。

    しゅう12026-09-07 · 0購入
  9. 33位わたしは覚えているの表紙

    わたしは覚えている

    十三年勤めたクリニックを、二〇二四年に辞めました。体調のためです。 これは記録です。何があったのかを、日付順に書いておきます。わたしは一度も遅刻をしたことがありませんし、レセプトを落としたこともありません。院長には三十七回相談しました。日付は全部控えてあります。 語り手は、自分が嘘をついているとは思っていません。だから堂々と、整然と書きます。反省も、自己疑念も、ほのめかしも一行もありません。 食い違いは、本人が何気なく書いた細部のほうに残ります。 信頼できない語り手。全十章。

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  10. 34位百三の断片の表紙

    百三の断片

    父が言ったことを、そのまま書き写しています。文法が壊れていても直していません。 番号のついた断片が百三あります。長いものは千二百字、短いものは七字です。時系列に並んでいません。断片どうしは繋いでいません。読む人が繋いでください。 一 これ、逆さまだ 父は元の職業が文選工で、活字を拾って並べる仕事を四十年しました。息子は校正者です。父の言葉と息子の仕事に同じ語が出てきますが、それについて息子は何も書きません。 体重の数字と、姉からの電話の回数だけが、順番どおりに進みます。 断章形式。全百三断片。

    しゅう12026-09-07 · 0購入
  11. 35位さかのぼるの表紙

    さかのぼる

    二〇二六年四月九日、市役所。手続きは十二分で終わって、帰りは別々の電車に乗った。 この本は、そこから遡ります。第一章がいちばん新しく、第十一章がいちばん古い。最後の章は二〇一七年十一月十一日、亮が左下の親知らずを抜きに、汐里の働く歯科医院へ来た日です。会話は五分で、何も起きません。 読者は結末を先に知って読むので、伏線ではなく予感だけが書いてあります。「このときはまだ知らなかった」とは一度も書きません。 六枚組の皿は、遡るほど欠けていません。隣のケヤキは、遡るほど枝が細い。 逆行構成。全十一章。

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  12. 36位花火の日の表紙

    花火の日

    打ち上げ一万二千発、人出およそ二十八万人、日中の最高気温三十四・八度。全十章が、この一日の中だけで起きます。 六人が、同じ三つの出来事に居合わせます。十六時四十二分にゲート前で老人が倒れたこと。十九時四十分に二十分だけ降った雨。二十一時一分に上がった二尺玉。 それが、章によってまったく違って見えます。警備員は「転倒一名」と無線で報告し、本人は転んだと思っており、たまたま近くにいた者だけが原因を見ています。誰も全体を知りません。矛盾はそのまま置いてあります。 六人が最後に集まる場面はありません。 同一日・複数視点。全十章。

    しゅう12026-09-07 · 0購入
  13. 37位始発の表紙

    始発

    車掌になって二十六年。運転士の適性検査には二度落ちた。恨んではいないと言っている。 泊まり明けの朝、四時五分に点呼を受けて、出区点検をして、四時四十一分に車両基地を出る。その二十七分間を、この本は二度書きます。第一章と、第十章で。 同じ順に、同じものが出てきます。仮眠室の切れかけた紐、六秒かかる蛇口、去年つけ直した第二ボタン、動いているのを見たことがない側線の二両。 二度目には、一度目に名前の無かった三人に名前があります。 円環構成。全十章。

    しゅう12026-09-07 · 0購入
  14. 38位惜しまないでいられるかの表紙

    惜しまないでいられるか

    山あいの町の地下千二百四十メートルから、三十年間、何も観測されていない。電磁波も、音波も、振動も、ニュートリノも。 それでも半径四・二キロの中にいる人間の〇・〇三パーセントに、外から与えられていない文が生じる。平均二十七文字。命令形が多く、日時と場所が具体的にある。従えば何かが起きる確率が有意に高い。ただし何が防がれたのかは、一生知らされない。従わなければ、二度と受け取れない。四百十二例のうち、離脱した百八十七人が再開した例は無い。 代償は、固有名詞の記憶をひとつ失うこと。順序に法則は見つかっていない。 中学の理科講師・室生亨に四つ目の文が来る。「九月三日午後六時二十分、蓼科慎司を病院へ運べ」。七年前、亨の妹を轢いた男の名前だった。 現代SF×旧約聖書。全十八章・約九万八千字。

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  15. 39位供述の表紙

    供述

    令和八年三月十七日午後七時五十二分ごろ、雑居ビル六階の外周デッキから一名が転落して死亡した。手すりの高さは一、一〇〇ミリ。花壇の上に立てば実効七〇〇ミリになる。六階に防犯カメラは無い。工事は四月からの予定だった。 この本は、供述調書七通と、実況見分調書、画像解析報告書、鑑定書、捜査報告書だけでできています。地の文は一行もありません。 証言は食い違います。誰も嘘をついていないのに、話が合いません。最後の報告書も、真相を確定させません。 調書・記録体。全十二書面。

    しゅう12026-09-07 · 0購入
  16. 40位あなたの部屋の表紙

    あなたの部屋

    あなたが死んでから二十五日たって、見つかった。特殊清掃と遺品整理で四十七万円かかった。払ったのは、十七年会っていない娘さんです。 冷蔵庫にはマヨネーズと辛子と、賞味期限の切れた卵が入っていました。茶碗は一つだけ伏せてありました。ガスは六月に止まっています。 工具箱に鑿が九本ありました。廃業して八年たつのに、刃は研いであった。 二人称。この部屋で死んだ人に向かって、あとから来た者が語ります。語り手が誰かは書きません。

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  17. 41位わたしたちの家の子の表紙

    わたしたちの家の子

    十九戸、三十一人、最年少が五十八歳の集落に、十九年ぶりに上の家の孫が帰ってきた。 わたしたちは歓迎した。野菜を持っていったし、集会所にも呼んだ。畑のやり方も教えた。四月には「上の家の孫」と呼んでいたのが、六月には「澪ちゃん」になった。 七月に、見たことのない車が停まっていた。誰も聞かなかった。 十一月の総会で、道普請の当番から名前を外す話が出た。若い人に負担をかけるのは、という理由だった。採決はしていない。 語り手はこの集落です。「わたし」という言葉は一度も出てきません。

    しゅう12026-09-07 · 0購入
  18. 42位日誌の表紙

    日誌

    母を看ていた二年一か月ぶんの日記です。三百三十六日ぶん。 最初の月は二十五日書いています。二年後の四月には三日になります。二〇二六年六月四日から七月十九日まで、四十六日ぶん何も書かれていません。その前の日の記載は「眠れない。」の五字です。 二〇二五年十一月八日の記載は十一字。二〇二六年一月十七日の記載は十八字です。 書かなかった日には、行そのものがありません。 日記体。全三百三十六日。

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  19. 43位給水塔の表紙

    給水塔

    築五十五年の団地。四一二戸のうち、いま人が住んでいるのは二六八世帯。敷地の北東の角に、高さ二十一・五メートルの給水塔が建っている。直結増圧方式への切り替え工事で、この塔は撤去される。総工費一億一千四百万円、修繕積立金から。臨時総会は賛成一六八、反対七十四だった。 六月八日に着工して、八月二十八日に終わる三か月を、十人の住人が順に見ている。同じ出来事が、人によって違って見える。それを誰も直さない。 誰も「寂しい」とは言わない。 三人称多元・章ごと視点交代。全十章。

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  20. 44位三十七通の表紙

    三十七通

    千葉刑務所の受刑者が、文通ボランティアに宛てて三年三か月のあいだに出した三十七通。 この本に載っているのは、彼の手紙だけです。相手の返事は一通も入っていません。何を聞かれたのかは、次の手紙の書き出しからしか分かりません。 事件の夜、先に手を出したのがどちらだったのか。娘に何度会ったのか。母から手紙が来たのかどうか。同じことが、通によって違って書かれています。本人は一度も訂正しません。 書簡体。全三十七通。

    しゅう12026-09-07 · 0購入
  21. 45位縫うの表紙

    縫う

    納棺の仕事を十四年している。湯灌は九十分。ドライアイスは一回三・五キロ。解剖のあとの遺体を縫うのは、この会社では自分だけがやる。 家族が見ている前で手を動かすのが仕事だと思っている。事故の遺体を縫っているあいだ、母親が最後まで見ていた日もあった。 十一月二日午前四時十二分、父が死んだ。翌日、自分で納棺すると言った。剃刀を持ったところで手が止まった。 十日後、他人の遺体を前にすると、手は普通に動いた。 全十章。

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  22. 46位モモ将軍はバックで入るの表紙

    モモ将軍はバックで入る

    幅138cmの尾羽を持つ地域キャラを、最狭86cmの搬入通路へ。図面を守る修繕主任と、却下された案は二度言わない新人が挑む仕事場コメディ。

    大井戸ボタン2026-09-07 · 0購入
  23. 47位川の名前の表紙

    川の名前

    八十一歳。特別養護老人ホームで、昭和三十三年八月十一日のことを話している。同級生の新開徹が学校の裏の川で溺れた日のことだ。 その話を、この本の中で五回する。五回とも細部が違う。歩いて行ったことになっていたり、自転車で行ったことになっていたり、もう一人いたことになっていたりする。本人は違いに気づかない。 六十三年、そう語ってきた。訂正する相手はもういない。 気にしているのは、罪ではなく、川の名前のほうだ。 全十章。

    しゅう12026-09-07 · 0購入
  24. 48位検品の表紙

    検品

    食品工場の検品ラインに立っている。一トレー〇・八秒。去年の一年で四十七回、異物を見つけて紙を書いた。班でいちばん多い。それで給料は変わらない。 六月十四日午前十時四十一分、ひじきの上に白いものが乗っていた。制吐薬のシートの角だった。前の日、同じラインの安西さんが手袋を外して薬を飲むのを見ていた。 非常停止は右の柱についている。体を三十センチ横に寄せて腕を伸ばせば届く。届くということだけが分かっている。 全十章。一人称・現在形。

    しゅう12026-09-07 · 0購入